7-3 建物用語のお話し【その3・屋根材の種類】
屋根(やね)とは、主に建物の上部を覆う構造物です。
前回に続き、今回は、屋根の材料について、お話ししようと思います。
屋根に使われている材料は、大きく分けると、粘土瓦、セメント瓦、スレート瓦、金属系の4種類に分けられます。
瓦(和瓦・洋瓦)は、粘土を使った焼きものの屋根材をいいます。耐久性が高く、塗り替えの必要がないのが特徴です。ほかの屋根材よりも重く、厚みもあるため、遮音性、断熱性、耐熱性に強みがありますが、ネックとなるのは、重さです。そのため、耐震性を考慮した工事仕様が求められます。
- セメント瓦は、セメントと砂を原料としたもので、プレスセメント瓦(厚形スレート)とコンクリート瓦に2分されます。施工性が良く、衝撃にも強いため、一般によく使用されています。期待する耐久年数は、30年程度とされており、塗装することによって、さらに延命することが可能です。
- スレート瓦は、セメント成分に繊維質の材料を織り交ぜてできた薄い屋根板です。スレート以外に、カラーベスト、コロニアルなどの商品名で呼ばれています。一般的に広く使用されており、そのため屋根材メーカーが作るデザインやカラーのバリエーションも豊富です。価格が安価なことも普及している要因です。耐久性はそれほど高くはありませんが、耐久性に優れた塗料や遮熱塗料が塗装された屋根材もあります。
- 金属屋根・トタンというのは亜鉛メッキ鋼板のことをいいます。トタン屋根の最大のメリットは、雨漏りしにくいという点です。しかも軽量で安価であるため、以前はトタン屋根を選ぶ方が多かったようです。反面、錆びが発生しやすく、断熱性能がないので、室内の温度も上がりやすく、夏場は空調費用がかさむという難点もあります。最近では、トタンを使用した住宅は減少しています。
- ガルバリウム鋼板は、アルミニウムが55%含まれています。アルミニウムの特徴である耐食性、断熱性、熱反射性が付与されています。また、43.4%含有の亜鉛の犠牲防食機能により、従来のトタンなどよりも、耐久性が格段に向上しています。加工性もよくあらゆる用途に使用されています。
- ガルバリウム鋼板の表面に細かな石粒を吹き付けたものがジンカリウム鋼板です。素材は、ガルバリウム鋼板もジンカリウム鋼板も同じです。ジンカリウム鋼板の特徴は、紫外線で劣化しない鉱物などの細かな粒を吹き付けることで、耐久性をあげています。他にも、表面の砂状の粒により雨音がガルバリウム鋼板よりも静かになります。定期的な塗装は不要ですが、厚みがガルバリウム鋼板と大差がないので、断熱性を考慮して施工しなければなりません。
- ステンレス屋根材は、錆びに強いため、海岸近くにお住いの方はよく検討される屋根材です。表面の塗装は、ガルバリウム鋼板と同様に工場で塗装されていますので、当然、経年による紫外線で色褪せてきます。ただし、色褪せを気にしない方は、塗装メンテナンスは、不要です。ガルバリウム鋼板などと比較して価格がかなり高いので、一般住宅には、普及していません。沿岸地域でなければ、あまり使用されない屋根材です。
- 銅板屋根は、その厚みによって耐久性が変わってきます。下地をしっかりと施工し、0.4mm程度の厚みであれば、100年もつと言われていた時期もあります。現在は、酸性雨などにより、屋根に穴があく事例が多く発生しています。新築時は、新品の10円玉のような色ですが、緑青(ろくしょう)が出ることにより、緑色に変化していきます。それ以降は、大きな変化はなく長持ちします。
- アスファルトシングル(グラスファイバーシングル)は、不燃布やガラス繊維であるグラスファイバーにアスファルトを塗装し、さらに表面には、細かな石粒(砂)などを施し、アクリル樹脂で固めて仕上げた屋根材です。昔は、フェルト紙にアスファルトを浸透させていたので、それと比較して数段、耐久性が向上しました。表面の石粒もキズが付きにくいといったメリットがあります。
- 陸屋根(ウレタン防水・シート防水・FRP・アスファルト防水)は、屋上部分が平らな屋根のことです。雨水の排水が必要なので、わずかに勾配が有ります。最近は、ハウスメーカーの戸建住宅でも平らな陸屋根が増えてきました。陸屋根は、太陽光パネル、庭園などに活用されています。陸屋根のメリットは、何と言ってもスペースの有効活用ができる点です。また、端から端まで歩いていけるので、勾配のある屋根よりもメンテナンスが容易です。雨漏りを防ぐ防水工事には色々な工法が有ります。概ね10年程度で点検やメンテナンスを行なうことによって、被害や改修費用を抑えることができます。
以上の様に、屋根の材料もいろいろなものが有ります。
その材料の性質によって、耐火性、耐久性、断熱性、遮音性、耐震性、デザイン性等々、異なってきます。中古住宅であれば、その葺かれている屋根によって、どのような性能を発揮しており、デメリットを抑える為には、どのようなメンテナンスが必要かを考えること、また、新築される場合は、オールマイティーの屋根材は、有りませんので、どのようなメリットを生かして、屋根を葺くかを検討する参考にして頂ければと思います。
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営業部 阿井川
投稿日:2020/12/13 投稿者:阿井川 幾司(宅地建物取引士)